時の羅針盤・198
時の羅針盤・198
道を見出す
高橋佳子
コロナ禍の下で
未曾有の試練とも呼ぶべきコロナ禍の中で、私たちが向き合わなければならないのは、健康上の問題だけではありません。新型コロナウイルス感染が拡大し始めた3月からそろそろ半年が経過し、この感染拡大による本当に深刻な影響が徐々に現れてくる頃です。
たとえば、経済の問題──。それは、国家の経済というマクロの話だけではありません。生活者としての人々、私たち1人ひとりが直接脅かされる問題です。
新型コロナウイルス感染の影響は、現時点ではいつ終息するとも言えない不透明さを抱えています。人が集まることによって成り立っていたイベント関連の仕事、様々なセミナーや講座を開催してきた企業、観光業、飲食関係の店舗や企業は、この半年、実質的な営業活動ができない状態が続いています。緊急事態宣言が解除され、人出が戻ってきたとは言え、同時に新規感染者数も増加している状況にあり、それらの営業活動は以前の状態まで回復しているわけではありません。
その負の影響がボディーブローのように響き続け、積み重なって大きな打撃となり、すでに閉店や倒産、事業の継続断念に追い込まれる店舗や企業も出始めています。
それがこの秋以降、一層大きな問題として私たちの前に現れてくることを心しなければなりません。
私たちには、12年前のリーマンショックや東日本大震災のときの影響以上の困難さに向き合う覚悟が求められているのです。
道はある
このまま行ったらどうなるのか──。
何も見通しがつかない混沌とした状態の中で不安を抱える。
あるいは、現実的に、自分ではどうすることもできないような壁に突き当たる……。
多くの方が、そうした状況に直面することになるかもしれません。
そのようなとき、忘れてはならないのは、「道はある」ということです。
あなたが望んでいる現実を一気に実現することは、できないかもしれません。あなたの思い通りに事態を変えることは、むずかしいかもしれません。
けれども、最善の道が必ず1つはある──。
それは、揺るぎのない、確かな事実です。
今ある状況に対して、少しでも制約をとどめ、可能性を引き出すような、光転に導いてゆく道が1本はあります。
もし、あなたが「自分を変えてでも何とかしたい。その道を見出したい」と願うなら、必ず、その道にたどり着くことができます。
まず、今ははっきりと見えなくても、その白き道があることを信じていただきたいのです。
心と現実は1つにつながっています。白き道があることを信じる目には探せても、「そんなものはあるはずがない」と否定している人には、その道はなかなか探せません。
「ない」と思えばない。「ある」と思えばある。禅問答のようですが、人間の心と現実のつながりは、それほど密接で不思議なものなのです。
黄金の道(ゴールデン・パス)を探す
「今、振り返ってみると、どうしてあのような道をたどることができたのか、信じられないような気持ちだ──」
大変な苦境から脱することのできた人たちの心には、そうした気持ちが生まれることが少なくありません。
あの地点から、どうしてここまで来られたのか──。
その道のりは、奇跡のようなプロセスであり、どこか神秘的な小径ですらあります。「ゴールデン・パス」(The Golden Path)とでも呼ぶべき道があるということです。
それは、自分で切り開いたというより、どこからか恵まれた道のようです。でも、決して突然どこからかやってくるものではないのです。私たちが切実に現実に向き合い、最善の道を信じて準備された心で力を尽くすとき、そして時を惜しんでできることをすべてやり尽くし、祈りと化した時を重ねるとき、天啓のように開かれてゆく道なのです。
2020.08.24