波濤を越えて──鑑真とその弟子たち
総合プロデュース・高橋佳子先生
作・ルネサンスアートシアター
新しい国づくりのために、
広き世界に出かけて行った青年たちの志と
先行く者との友情の物語
【物語の紹介】
今から時を遡ること1300年、奈良時代のわが国では、律令制度による新しい国づくりが始まっていた。しかし、民衆は重い税の負担に苦しみ、税を免除されるという理由で僧侶になる者が後を絶たず、仏教界の規律も乱れていた。
事態を憂いた時の聖武天皇は、国として僧侶の資格を定めるべく、遣唐使を派遣し、授戒師を日本に招こうと考えた。授戒師とは、正式な僧となるための戒律を授け、正しく僧を導いて、人々にまことの法を説くことのできる高僧のことである。
その授戒師招聘の使命を受けたのは、皮肉にも、日頃から互いにそりが合わないと感じていた、栄叡と普照という2人の若き僧侶だった。
733年、彼らは遣唐使として、命がけで荒波の海を越え、唐に渡る。
2人は、同じ遣唐使船の中で知り合った青年僧、戒融と玄朗の協力も得ながら、日本に渡ってくれる授戒師を探し始める。
しかし、唐から見れば日本は未開の地。命の危険を冒してまで日本に行こうという授戒師はなかなか見つからない。4人は時にぶつかりあい、弱音を吐くこともあったが、あきらめることなく探し続けた。
そして10年の時を経て、ついに唐の国の宝と呼ばれる高僧、鑑真和上にまみえる時が巡ってきたのである。
栄叡と普照は、「お弟子の中から、日本に来てくれる僧侶を推挙していただきたい」と必死に懇願する。鑑真は、「誰かこの者たちと一緒に、まことの法を伝えるために、日本に行く者はいないか」と弟子たちに2度問いかける。しかし、誰1人、声を上げる者はいない。
そのときだった、鑑真が思いもかけない決断を下したのは――。「誰も行かぬのなら、私が行こう!」
これは、想像を絶する試練を越え、新しい国づくりのために世界に飛び出していった若者たちと、その若者たちを信じ、命をかけて応えた大いなる師との友情と絆の物語である。
ルネサンスアートシアター 2016年度作品
定価(本体5,741円+税)*約123分
★★ 研鑽用のみならず、一般の方にもぜひ御覧いただきたい内容